トイレに手すりを設置するリフォームをすれば、便座への着座や立ち上がり時の身体への負担を大幅に減らすことができます。
また、トイレでの動作がスムーズになり、ストレスの軽減や転倒などの事故リスクの低下にもつながります。
しかし、手すりの高さ・位置が最適でなければ、十分な効果を得られません。
本記事では、トイレリフォームで手すりを設置する時に知っておくべき最適な高さ・位置をまとめました。
トイレのリフォームを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
トイレリフォームが生活を大きく変える理由
トイレリフォームは、高齢者にとっての生活の質を左右する重要な要素です。
トイレでは「座る・立ち上がる」動作がある
トイレでは、便座に座る・立ち上がるという上下の動作が必ず発生します。
この運動は膝や腰への負担が重く、特に関節に問題を抱えている方は転倒リスクも高まる要因にもなります。
さらに、トイレでは狭い空間でズボンを上げ下ろしやトイレットペーパーの使用など、さまざまな動作が必要になります。
こうした動作も手すりがあれば、身体への負担を軽減できるのです。
トイレは毎日頻繁に利用する
人間は1日に複数回トイレを使用します。
特に高齢者は1日に8回以上トイレに行くケースもあります。
使用頻度が高いということは、それだけトイレでの事故リスクも高くなるということです。
介助者にとってもトイレでのサポートは負担が大きい
トイレはスペースが限られているため、介助者のサポートが難しいという点も知っておくべきでしょう。
無理にサポートに入った結果、介助者自身が腰痛などの不調を発症してしまう可能性があります。
このような介助が難しい場所では、手摺の設置や空間のレイアウトなど環境の改善が不可欠です。

トイレリフォームで設置する手すりの種類
トイレリフォームで設置する手すりには、次のような種類があります。
使いやすさやトイレの広さ・レイアウトに応じて、最適な手すりを選びましょう。
縦型:I型
縦型の手すりは、トイレの側面の壁に真っ直ぐ床と垂直に設置します。
便座からの立ち座りをサポートするだけでなく、設置位置によってはトイレのドアの開閉時にもも安定させる効果があります。
横型(側方・前方):水平型
横型の手すりは、トイレの壁に水平に設置します。
横への並行移動や便座への立ち座りをサポートでき、狭い空間での移動に不安を感じる方のトイレに行くハードルを下げられるでしょう。
トイレの入り口から便器までの壁側面に設置して移動を補助、便器の前方に設置して立ち上がりをサポート、便器の両側面に設置すれば、便座から立ち上がる時の負担をさらに減らせます。
縦×横型:L字型
縦型と横型を組み合わせ、L字型の形状で設置する手すりです。
体重を水平にシフトする動きと立ち座りの両方の動きをサポート可能なため、一つの手すりで複数の動作をカバーすることができます。
L字型は使い勝手のよさから選ばれるケースが増えており、さまざまな素材やデザインのバリエーションも豊富です。

特殊な形状の手すり
トイレの手すりには、掴みやすさを考えた独自の形状のものがあります。
例えば、格子型・波型・楕円型など、形状により期待できる機能が異なるため、利用時の使い勝手を考えながら比較検討するとよいでしょう。
可動式手すり
使わない時に上部にはね上げられる構造の可動式の手すりは、「はね上げ手すり」と呼ばれることもあります。
不要時に邪魔にならないというメリットがあり、特に車椅子からの移乗時に便利です。

置き型手すり
文字通り、床に置くだけで使える簡易タイプの手すりで、壁に取り付けるなどの特別な工事をする必要がありません。
トイレと壁に距離がある場合やトイレの壁の強度が不足しているケースなどにおすすめで、4千円程度で購入可能です。
片手/両手で支えるタイプが存在し、性能やデザイン性が高いものは3〜4万円かかることもあります。
トイレの手すりを設置する位置の目安
トイレ手すりを設置する位置は、利用者の身体状況や動き・車椅子の有無・介助者の動きなど、さまざまな要素を踏まえて検討する必要があります。
この章では、トイレの手すりを設置する位置の目安を紹介します。
縦型手すりの場合
縦型手すりをトイレの出入口に設置する場合は、手すりの上部が利用者の肩より上になるように取り付けます。
便座付近に設置する場合は、利用者が便座に座った状態で前傾姿勢になったときに掴みやすい位置に取り付ける必要があります。
目安は便器の先端から前方に20〜30cm、手すりの下端が床面から23〜30cmに設置するのが理想です。
横型手すりの場合
横型手すりをトイレのドアから便器までの移動補助用で設置の場合は、床から80cm前後の高さに設置します。
便器の正面に設置する場合は、床から70cm程度の高さ・便器の先端から60cm程度の距離を目安にするとよいでしょう。

L字型手すりの場合
L字型の手すりは、便器側面の壁に設置するのが一般的です。
水平の部分は便座から23〜30cmの高さ・縦の部分は便座の先端から20〜30cm前方が目安となります。
可動式手すりの場合
可動式の手すりは、手すりを下ろした状態で便座の側面と23〜30cmの幅を確保します。
トイレットペーパーホルダーとの距離も重要で5cm程度のスペースを空けておくと安心です。
手すりが壁やトイレットペーパーホルダーに近すぎると、指を挟むなどのリスクがあります。
トイレの手すりリフォームにかかる費用の目安
トイレリフォームで手すりを設置する際に必要な費用の目安は、3万円~です。
複数の箇所に手すりを設置するケースや、壁の強度が足らずに補強工事を行う場合は追加費用がかかります。
また手すりの設置と合わせて、他のトイレの介護リフォームも同時に行うことで、より高齢者が安心して使いやすいトイレ環境を整えることができます。
費用だけでなく、安全性や快適性といったリフォーム全体の効果を考えたプランを検討しましょう。
その他のトイレの介護リフォーム
トイレの介護リフォームには、手すりの設置以外に次のような工事もあります。
介助者に必要なサポートは何か考え、介護リフォームの内容を決めましょう。
便器の交換
和式トイレから洋式トイレへの変更は、代表的なトイレの介護リフォームです。
和式便器には腹圧がかかりやすいという利点がありますが、膝や腰への負担が大きく転倒リスクも高くなります。
洋式便器に変更すれば、身体への負担を大幅に軽減できるでしょう。
便座の変更
便座の座面を高くする補高便座を使えば、立ち座りの動作が楽になります。
また、冬場に冷たさを感じにくい素材やクッション性のある便座を選ぶことで、トイレの快適性も向上するでしょう。
ただし、あまりに便座を高くし過ぎて床に足が届かないと、排泄時に十分な腹圧がかけにくくなるため、利用者の体型に合った便座の高さを選びましょう。
床材の変更
床が滑りやすい素材だと、転倒リスクが高まってしまいます。
トイレの床は滑りにくく、掃除がしやすいものがよいでしょう。
床材の変更では、防水・消臭・抗菌効果のあるクッションフロアが人気です。
トイレの段差の解消
既存トイレの入口に段差や敷居がある場合は、スロープの設置や床面のかさ上げなどの工事で、トイレの段差を解消することができます。
これにより転倒リスクを減らせるだけでなく、トイレに行く時に感じる体の負担も少なくできるでしょう。
トイレスペースの拡張
車椅子が必要になった場合のために、トイレ自体のスペースを広げる工事も有効です。同時に介助者もトイレ内で動きやすくなります。
住宅の間取りによっては拡張が難しくトイレを新設する必要が生じる場合もあります。
トイレのドアの変更
一般的なトイレのドアは外開きタイプですが、開閉時に転倒リスクを高めることがあります。
トイレのドアを引き戸に変更すれば、ドアの開け閉めがスムーズになり車椅子利用も快適になります。
特に現段階でトイレのドアが内開きの場合は、倒れた時にドアが開かなくなる危険性があるため、早めの改善を検討しましょう。

トイレの手すりはDIYでつけられるのか
トイレの手すりをDIYで設置したいと考える方も少なくありません。
DIYが得意な方にとっては難しい作業ではないでしょう。
ただし設置する壁の強度が十分でなければ、壁が崩れたり手摺が外れたりして、利用者の転倒や怪我につながるリスクもあります。
安全性を重視するなら、トイレの手すり設置はプロに任せることをおすすめします。
DIYにこだわりたいという方は、必ず壁の強度・柱の位置を確認してから取り付け作業を行ないましょう。
トイレの手すり工事には介護保険・助成金が使える可能性がある
トイレの手すり工事には、介護保険や助成金が使える可能性があります。
介護保険
介護認定を受けて「要介護1〜2」または「要支援1〜5」と認定された介護保険被保険者は、介護保険を活用することができます。
介護保険の補助を受けるには工事着工前に申請を行う必要があるため、リフォームを検討している時点で、あらかじめ内容を確認しておきましょう。
ケアマネージャーなど介護支援専門員に相談することで、申請について詳しい説明を受けられるでしょう。

トイレのリフォームを対象とした助成金・補助金
トイレのリフォームに対して、助成金・補助金を用意している自治体もあります。
まずは、お住まいの地方自治体にトイレリフォームを対象にしている助成金・補助金がないか確認してみましょう。
助成金・補助金の条件を満たせば、リフォームにかかる費用を軽減できます。
トイレリフォームで手すりを設置する時の注意点
トイレリフォームで手すりを設置する際には、以下のポイントに注意しましょう。
トイレの壁に十分な強度があるか確認する
一見簡単そうに思えるトイレ手すりを設置工事ですが、壁に十分な強度が保たれているかどうかが重要です。
まずは、手すりを設置する予定の壁の強度を確認ですが、リフォームを依頼する場合は業者に任せられますが、DIYで設置する場合には自分で行う必要があります。
具体的には、壁の材質・壁の厚み・壁の裏側に柱があるかをチェックし、強度が不足している場合は補強工事を行うことになります。
持ちやすく滑りにくい手すりの素材を選ぶ
トイレに手すりを設置しても、掴みにくい・滑りやすい素材を選んでしまうと、逆に転倒リスクが高まる恐れがあります。
素材や形状の選定は見た目だけでなく、実際の使いやすさも重視しましょう。
- 木材:握りやすく温かみがあるが、湿気に弱く劣化しやすい
- ステンレス:耐久性が高いが、冬場は冷たさを感じる
- プラスチック:滑りにくく軽いが、耐久性が低く手触りが劣る
手すりの太さや形状によって、掴み心地が変わることも知っておきましょう。
実際の利用者に適した手すりを選ぶ
最適な手すりは、利用者によって異なります。
手の大きさ・身長・体の不調部分・生活動線など、使いやすい手すりの種類・形状・設置位置を選ぶことが大切です。
可能であれば、実際に使う本人の意見を聞きながら選ぶとよいでしょう。

まとめ
トイレに手すりを設置する際には、利用者の身体状況や生活動線に適したタイプ・形状の手すりを選び、使いやすい位置に設置する必要があります。
設置位置の目安はあるものの、利用者ごとに最適な答えは異なると考えましょう。
この記事を参考に、暮らしに寄り添った安全で快適なトイレリフォームを実現していだだければ幸いです。
よくあるご質問
Q. トイレ手すりの「高さ・位置」の目安は?
A. 目的(移動補助/立ち座り補助)で目安が変わります。横型の移動補助は床から80cm前後、便器前方は床から70cm程度・便器先端から60cm程度が目安です。縦型は便器先端から前方20〜30cm、下端が床から23〜30cmが目安です。L字は水平部が便座から23〜30cm、縦部は便器先端から前方20〜30cmを目安に検討します。
Q. 手すりの種類はどう選ぶ?(縦・横・L字・可動・置き型)
A. 立ち座りが不安なら縦型(I型)やL字、狭い空間での移動が不安なら横型が基本です。車椅子移乗や介助が必要なら、邪魔になりにくい可動式(はね上げ)も有効です。壁の強度が不安、壁から距離がある場合は工事不要の置き型も選択肢になります。使う本人の身長・握力・動線に合わせて、掴みやすい素材・太さも重視しましょう。
Q. DIYで付けてもいい?費用や介護保険は使える?
A. DIY自体は可能ですが、壁の下地強度が不足すると手すりが外れて転倒リスクが高まるため注意が必要です。安全性を優先するならプロ施工が安心です。費用目安は3万円〜で、複数設置や壁補強があると追加費用が発生します。介護保険や自治体の助成が使える可能性があり、原則として工事前申請が必要になるため、早めにケアマネや自治体へ確認しましょう。