在来工法の浴室は昔ながらの住宅で多く採用されています。
ただ、長年使用していると使いづらいと感じる点や不具合が出てきてしまうため、リフォームを検討されている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、在来工法の浴室リフォームについて詳しく解説します。
在来工法の浴室をリフォームするときのリフォームの種類や、それぞれのリフォーム方法のメリット・デメリットを中心に、実際にリフォームする際のポイントや注意点などについても紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
在来工法の浴室リフォームの種類
浴室リフォームの種類 | 概要 |
---|---|
在来工法リフォーム | 現場で浴室の床や壁を作り、その上から防水加工を施して作る浴室 |
ユニットバスリフォーム | 工場で製造した床・壁・天井・浴槽などの各パーツを現場で組み立てて施工する浴室 |
ハーフユニットバスリフォーム | 在来工法の浴室とユニットバスの浴室を組み合わせて作る浴室 浴室の上半分が在来工法、下半分がユニットバスで構成される |
パネルリフォーム | 在来工法の浴室を活用して作る浴室 既存の浴室を解体せず、上からパネルやシートを貼り付けてユニットバスのような見た目に仕上げる |
補修リフォーム | 浴室の傷んでいる部分や劣化している部分、不具合がある部分をピンポイントで修繕するリフォーム方法 |
在来工法の浴室をリフォームする際に選択できるリフォームの種類と、方法の概要は上記の通りです。
それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、それらを把握し比較した上で、どの方法で浴室をリフォームするか決める必要があります。
在来工法から在来工法の浴室へのリフォーム
在来工法の浴室は、現場で床や壁を作り、その上に防水加工を施して施工するタイプの浴室です。
現在はユニットバスが採用されるケースが多くなっていますが、ユニットバスが登場する昭和後期の頃までは在来工法が主流となっていました。
在来工法から在来工法の浴室にリフォームするメリット
在来工法の浴室をユニットバスに交換せず、在来工法のままリフォームするメリットとしては、「自由度の高さ」が挙げられます。
ユニットバスはすでに作られたパーツを組み合わせて構成するタイプの浴室であるため、自由度はそれほど高くありません。
在来工法の浴室リフォームは自由度の高さが魅力で、タイル選びにこだわりたい、海外製のデザイン性のよい水栓金具を取り付けたい、桧素材の浴槽で温泉のような雰囲気を楽しみたいなど、理想を追求したい方に最適なリフォーム方法です。
また、ユニットバスでは対応が難しい特別なサイズや形状にも柔軟に対応できるため、デザイン性を重視する場合や空間にぴったりと合わせた施工が求められる場合にも適しています。
在来工法から在来工法の浴室にリフォームするデメリット
在来工法のまま浴室をリフォームする方法としては、以下の2点が挙げられます。
- コストがかかる
- 適切な防水処理が必要
ユニットバスはあらかじめ製造されたパーツを組み立てるため、リフォームに時間や手間がかからないという強みがあります。
一方、在来工法はあらかじめ用意されたパーツを組み立てるのではなく、一から作っていくので、時間も手間もかかります。
そうなると、どうしても作業人数や工数が増えるので、費用も高くなります。
また、在来工法では下地となる床や壁は適切に防水処理しなくてはいけません。
防水処理が不十分だと水漏れのリスクが高まります。
在来工法から在来工法の浴室にリフォームするときの日数
在来工法から在来工法の浴室にリフォームする場合の工期の目安は、約10日間です。
在来工法は一から造作していくため、ユニットバスにリフォームする場合に比べると工期も長くなります。
また、配管を新しいものに変更したり浴槽や窓の位置を変更したりする場合は、2週間以上かかることもあります。
在来工法からユニットバスへのリフォーム
ユニットバスは、あらかじめ工場で作られたパーツを現場で組み立てて施工する浴室です。
床・壁・天井・浴槽などを工場で製造し、住宅に運んで組み立てるため、工期が短く品質が安定しているのが特徴です。
在来工法からユニットバスにリフォームするメリット
在来工法の浴室からユニットバスにリフォームする主なメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 在来工法に比べてコストを抑えやすい
- 断熱性能や防水性能が高い
- メンテナンスの手間がかからない
ユニットバスは規格化された製品が多く、メーカーの価格競争もあるため、費用が比較的安定しやすいのも特徴です。
リフォームの場合でも、サイズに合ったものを選べば、既存の間取りを大きく変更せずに設置できるため、解体や配管工事のコストを抑えられることも多いです。
また、断熱性能や防水性能が高いのもユニットバスの魅力の一つです。
在来工法の浴室は、壁や床にタイルを使用することが多く、コンクリートやモルタルを通じて冷気が伝わりやすいため、冬場は浴室が冷え込みやすくなります。
一方、ユニットバスは断熱性に優れた浴槽や床材を採用し、冷えにくい構造になっているため、冬場の寒さによるヒートショックのリスクを軽減できます。
また、在来工法は築年数が経つと目地部分の劣化による水漏れリスクも高まりますが、ユニットバスは、壁・床・天井が一体成型されているため、継ぎ目からの水漏れリスクが少なく、長く使っても水が染み込んでくる心配が少なく、安心して使えます。
メンテナンス面では、ユニットバスは目地が少ない構造になっているため、カビが発生しにくく掃除がしやすいのが大きなメリットです。
またメーカーによっては、防汚コーティングや自動洗浄機能付きの浴槽・床材を採用しているものもあり、さらに掃除の負担を減らすことができるため、浴室リフォームの際には、こうした機能を備えた製品を検討するのもおすすめです。
在来工法からユニットバスにリフォームするデメリット
性能面で優れているユニットバスですが、工場で製造された既存のパーツを組み立てて施工するため、デザインが似通ったものになりやすい傾向があります。
各メーカーからさまざまな製品が発売されていますが、在来工法に比べるとデザインやレイアウトの自由度は低めです。
在来工法からユニットバスにリフォームするときの日数
在来工法の浴室をユニットバスにリフォームするときの工期の目安は、1週間~10日程となっています。
在来工法からユニットバスにリフォームする場合、既存の床材や壁材を撤去しつつ、床下地の調整も行わなくてはいけません。
そのため、ユニットバスからユニットバスにリフォームする場合に比べて工期が長くなります。
在来工法からハーフユニットバスへのリフォーム
ハーフユニットバスは、在来工法の浴室とユニットバスの浴室を組み合わせて作るタイプの浴室です。
浴室の上半分の壁と天井は在来工法で構成され、浴室の下半分にあたる浴槽や床、腰の高さにあたる壁の部分はユニットバスで構成されています。
在来工法からハーフユニットバスにリフォームするメリット
浴室の上半分はを在来工法で仕上げるので施工の自由度があり、下半分はユニットバスで仕上げるので、防水性や断熱性を確保できることがメリットです。
在来工法からハーフユニットバスにリフォームするデメリット
ハーフユニットバスは、上半分は在来工法で仕上げるため、どうしてもユニットバスより防水性が低くなります。
また、ハーフユニットバスには、取り扱っているメーカーが少ないという点がデメリットです。
ユニットバスほど一般的な浴室タイプではないため、対応していないメーカーも多く、実際のリフォーム工事で採用されることは少ないのが現状です。
在来工法からハーフユニットバスにリフォームするときの日数
在来工法からハーフユニットバスにリフォームする場合、約1週間~10日かかります。
ハーフユニットバスは、上半分を在来工法で仕上げるので、ユニットバスでリフォームする場合に比べて工期が長くなります。
在来工法からパネルリフォーム
パネルリフォームは、在来工法の浴室を解体せずに施工する浴室です。
在来工法で作られた既存の浴室を残しつつ、その上からパネルやシートなどを貼り付けて、ユニットバスのような見た目にリフォームしていきます。
在来工法からパネルリフォームするメリット
在来工法からパネルリフォームする場合の主なメリットは以下の通りです。
- コストを抑えやすい
- 工期が短い
- ユニットバスが入らない浴室でも施工できる
パネルリフォームは、既存の浴室を解体せずに上からパネルやシートを貼り付けて施工するので、コストを抑えやすくなっています。
解体や下地の調整などが必要ない分、工期も短くなりやすいので、作業費用や人件費も削減しやすい傾向があります。
また、あくまで在来工法の壁や床をそのまま使って工事を行うので、ユニットバスの規格に合わない浴室でも施工可能です。
在来工法からパネルリフォームするデメリット
浴室パネルリフォームは、既存の壁や床を解体せずに施工できるため、工期が短く手軽な方法ですが、築年数が経過した住宅では注意が必要です。
特に、在来工法の浴室は長年の使用によって下地部分が劣化していることがあります。
ユニットバスや在来工法でのリフォームでは、既存の浴室を解体する際に下地の状態を確認できますが、パネルリフォームでは既存の壁や床をそのまま活かすため、劣化に気づかないまま施工が進んでしまう可能性があります。
そのため、リフォーム後に下地の補修が必要になり、追加工事が発生することもあります。
特に築年数が経過した住宅では、見えない部分の劣化が進んでいるケースが多いため、手軽なパネルリフォームではなく、浴室全体を交換するリフォームを検討した方がよい場合が多くあります。
在来工法からパネルリフォームするときの日数
在来工法からパネルリフォームする際の工期は、約3日~1週間です。
パネルリフォームでは、既存の壁や床を解体せず下地の調整や補修も行わないため、短い工期となります。
補修リフォーム
補修リフォームは、修理が必要な部分をピンポイントで修繕するタイプのリフォーム方法です。
これまで紹介した浴室全体のリフォーム方法とは異なり、傷んでいる部分や劣化している部分のみをリフォームして、浴室のトラブルを解消したり、使い勝手を向上させたりします。
補修リフォームのメリット
在来工法の浴室を補修リフォームする方法のメリットとしては、コストを抑えられる点が挙げられます。
補修リフォームは補修が必要な箇所だけを修繕するため、浴室全体のリフォームに比べ、コストを大きく抑えることができます。
費用はリフォームの内容によって異なりますが、なるべく出費を抑えつつ、浴室の不満や不具合を解消したいと考えている方にとってはメリットだと言えるでしょう。
補修リフォームのデメリット
費用を抑えられる補修リフォームですが、ここまで紹介した浴室全体のリフォームのように、浴室全体の雰囲気や使い勝手が大きくかわるわけではありません。
そのため「浴室全体の雰囲気を変えたい」「浴室の使い勝手を大きく向上させたい」といった要望には応えづらくなっています。
補修リフォームするときの日数
在来工法の浴室を補修リフォームするときの日数はリフォームの内容によって異なりますが、1日〜3日ほどで完了するものがほとんどです。
水栓設備の交換や、床のタイルや壁のタイルの一部を補修するような簡単なものであれば半日ほどで終わることもあります。
在来工法の浴室をリフォームするときのポイントと注意点
在来工法の浴室をリフォームするときには、以下のポイントや注意点についてもしっかりと把握しておかなくてはいけません。
- 追加工事が発生する可能性がある
- 補助金や助成金を活用できる可能性がある
- ユニットバスを導入できないこともある
- 窓の位置が変更されてしまうことがある
- 内窓を設置できないケースもある
追加工事が発生する可能性がある
在来工法の浴室は、下地部分が腐食していたり劣化したりしていることがあります。
その場合、下地の補修や補強などの追加工事が必要になり、想定外の費用が発生する可能性があります。
築年数の古い住宅ほどその傾向が高くなるので、追加工事が発生する可能性があることを前提に予算を組んでおくようにしましょう。
補助金や助成金を活用できる可能性がある
在来工法の浴室をリフォームする場合、補助金や助成金の制度を活用できることがあります。
浴室に手すりをつけるなどのバリアフリーリフォームや内窓を設置して断熱性能を向上させるなどの省エネにつながるリフォームですが、すべてのリフォームが対象になるわけではありません。
利用できそうな補助金や助成金がないか事前にチェックしておくとよいでしょう。
ユニットバスを設置できないこともある
ユニットバスはサイズなどの規格が決まっているため、在来工法から変更する際、既存の浴室と寸法規格が合わず設置が難しい場合があります。
住宅設備メーカーの中にはサイズオーダーでのユニットバスの製造に対応しているところもありますが、価格も割高になります。
ユニットバスに変更したいと考えている方は、その点も理解しておくようにしましょう。
内窓を設置できないケースもある
在来工法の浴室の場合、既存の窓の奥行きが深いなどの理由で内窓を設置できないケースもあります。
内窓の設置は気軽に行える人気の断熱工事ですが、窓の形状などによっては内窓を設置できないこともあるので注意しましょう。
まとめ
在来工法の浴室のリフォームにはさまざまな方法があり、それぞれ費用やメリット・デメリット、工期が異なります。
実際にリフォームを行う際は、それぞれのリフォーム方法の特徴を理解し、最適な方法で対応することが重要です。
ただ、どの方法でのリフォームが最適なのかについては自分で判断するのが難しいので、プロのリフォーム業者に相談しながら決めるとよいでしょう。
リフォーム業者を選ぶ際は、在来工法の浴室リフォームの実績が豊富な業者を選び、実績や事例を確認しながら検討をすすめるようにしましょう。