10年〜20年のタイミングで必要になる、住宅の屋根塗装や外壁塗装。
屋根塗装と外壁塗装は同じタイミングでやるべきという意見も多いため、同時に行うことを検討している方も多いかと思います。
しかし、同じタイミングでの塗装にはメリットもあればデメリットもあるため注意しなくてはいけません。
本記事では、「屋根塗装と外壁塗装を同時に行うべきか？」という点ついて、詳しく解説します。
同時に塗装するメリット・デメリットや、同時に塗装するときの費用相場、工事の流れからリフォーム業者の選び方までまとめて解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
屋根塗装と外壁塗装の耐用年数と劣化度合いのチェックリスト
屋根塗装と外壁塗装を同時に行うべきか検討する上でまず把握しておきたいのが、屋根塗装と外壁塗装の耐用年数について。
また、屋根塗装にしても外壁塗装にしても劣化するとさまざまな症状が見られるようになりますが、再塗装のタイミングを見極めるためには、劣化度合いをどのようにチェックするのかについても知っておかなければいけません。
屋根塗装と外壁塗装の塗料別の耐用年数と、それぞれの劣化度合いのチェックリストについて解説していきます。
塗料別の耐用年数
屋根や外壁の塗装にはさまざまな種類の塗料が使用されますが、塗料によって耐用年数が異なります。
塗料の種類別の耐用年数については以下の通りです。
| 塗料の種類 | 耐用年数 |
|---|---|
| アクリル塗料 | 4年〜7年 |
| ウレタン塗料 | 8年〜10年 |
| シリコン塗料 | 12年〜15年 |
| ラジカル塗料 | 10年〜15年 |
| フッ素塗料 | 15年〜20年 |
| セラミックス塗料 | 12年〜15年 |
こちらの年数はあくまでも目安なので、これより持つこともありますし、ずっと早く再塗装が必要になることもありますが、再塗装の必要性を判断する上での一つの指標にはなるはずです。
屋根塗装の劣化度合いのチェックリスト
屋根塗装の必要性は、屋根の劣化度合いで判断できます。
屋根に以下のような劣化の症状が見られる場合は、早急に屋根の再塗装を行うべきです。
- 屋根が全体的に色褪せている
- 屋根が全体的に汚れている
- 金属系の屋根においてところどころサビが見られる
これらは比較的軽度な劣化症状なので、屋根塗装を改めて行うことで対処できる可能性があります。
一方、以下のような劣化の症状が見られる場合は、屋根の再塗装だけでは対処できない可能性が高いと言えます。
- 屋根材をとめている釘やビスが浮いている箇所がある
- 棟板金に浮きや反りが見られる
- 屋根材に部分的なひびや欠けが見られる
- 住宅内で雨漏りが発生している
これらの症状が見られる場合は、屋根の再塗装ではなく、屋根材の部分的な交換や全体的な葺き替え、雨漏りを修繕するためのリフォームなどの対処が必要です。
外壁塗装の劣化度合いのチェックリスト
外壁塗装の必要性も、外壁の劣化度合いを確認することで判断できます。
住宅の外壁に以下のような劣化の症状が見られる場合は、なるべく早いタイミングで外壁を再塗装するべきです。
- 外壁が全体的に色褪せている
- 外壁が全体的に汚れている
- 外壁を触ると手や指が白くなる
- ところどころ塗装が剥がれている部分や膨らんでいる部分がある
外壁に以下のような劣化症状が見られる場合は、塗装だけでは対処できない可能性があります。
- 外壁に複数の細かなひび割れが見られる
- 金属製の外壁材にサビが発生している
- 雨漏りが発生している
- シーリングにひび割れや欠損が見られる
住宅の外壁にこれらの劣化症状が見られる場合は、外壁材の張り替え工事や雨漏りに対する補修工事などを含めた対応を考えなくてはいけません。
屋根塗装と外壁塗装を同時に行うメリット
屋根塗装と外壁塗装を同時に行う場合、以下のようなメリットが期待できるようになります。
- 費用を抑えやすい
- まとめて依頼できる
- 色の選択肢が広がる
これらのメリットの中で一つでも魅力を感じるものがあるのであれば、屋根塗装と外壁塗装を同時に行うことを検討してみるべきだと言えるでしょう。
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
費用を抑えやすい
屋根と外壁の塗装を同時に行う場合、それぞれ別のタイミングで依頼した場合に比べ、トータルの費用を数十万円単位で節約できるという大きなメリットがあります。
屋根や外壁など住宅の塗装工事では足場を組む必要がありますが、足場の設置費用は、塗装工事全体の費用の約20%を占めるほど大きな金額になります。
屋根と外壁の塗装を異なるタイミングで行う場合、その都度足場を設置しなくてはいけません。
足場の設置にかかる費用はそれぞれのケースによって異なるため一概に言い切ることはできませんが、15万円〜30万円ほどかかることが多くなっています。
屋根と外壁の塗装を同時に行う場合、一回分の足場代をまるまる節約できるため、15万円〜30万円ほど節約できることになります。
また、同時に塗装すると工期が短くなる傾向があるため、費用を抑えたいのであればなるべく同時に塗装するべきだと言えるでしょう。
まとめて依頼できる
屋根塗装や外壁塗装など、住宅をリフォームする上で意外と手間がかかるのが、リフォーム業者への依頼や打ち合わせです。
屋根や外壁の塗装を異なるタイミングで実施する場合、その面倒な依頼や打ち合わせを2回行わなくてはいけません。
一方、屋根と外壁の塗装を同時に行う場合は、依頼や打ち合わせを一度で済ませることができます。
打ち合わせや業者とのやりとりの回数が少なくなると、対応にかかる時間や手間を削減できるのはもちろん、ストレスを感じる場面も少なくなります。
また、まとめて依頼すると、別々に依頼するときよりもトータルの工期は短くなりますし、トータルでプランを考えてもらえるため、より良いプランを提案してもらえる可能性も高くなるので、依頼する側にとっては非常に大きなメリットです。
色の選択肢が広がる
住宅の屋根や外壁を塗装する方の多くが見落としがちなのが、屋根と外壁の色の組み合わせや相性について。
極端な例ではありますが、黄色と赤など、主張の強い色を組み合わせるとチグハグな印象の家になってしまう可能性があるため、色の選択は慎重に行わなくてはいけません。
ただ、屋根と外壁の塗装を別々のタイミングで行ってしまうと、どちらかの色に合わせなくてはいけないため、どうしても色の選択肢が狭まりがちです。
一方、屋根と外壁の塗装を同時に行う場合は、両方の色を選ぶことができるので、色の選択肢が広がり、さまざまな色を選択できるようになります。
別々のタイミングで塗装すると、劣化による変色が進んで組み合わせをイメージしづらくなってしまうこともあるため、そういったケースを避ける上でも、同じタイミングでの塗装がおすすめだと言えます。
屋根塗装と外壁塗装を同時に行うデメリット
屋根塗装と外壁塗装を同時に行うメリットはどれも魅力的ですが、同時に塗装を行うと以下のようなデメリットも懸念されるようになるため、注意しなくてはいけません。
- 費用の負担が大きい
- 工期が長くなる
- 屋根と外壁の状態が異なる場合がある
それぞれのデメリットについて、詳しく解説していきます。
費用の負担が大きい
屋根塗装と外壁塗装を同時に行うと、費用を抑えることはできますが、負担額は大きくなるので注意しなくてはいけません。
あくまで一例ではあるものの、屋根塗装だけを行う場合であれば60万円〜100万円で済みますし、外壁塗装だけを行う場合であれば80万円〜150万円ほどの負担で済みます。
一方、屋根塗装と外壁塗装を同時に行う場合は、120万円〜230万円と一度に負担しなければならない金額が大きくなります。
同時に行うことで足場代や人件費を節約できる可能性があるため、トータルでの費用は安く抑えられますが、一度に2種類の塗装工事を行う分、負担しなければならない金額は大きくなるので、その点には注意するようにしましょう。
工期が長くなる
屋根塗装と外壁塗装を同時に行う方法は、足場の設置や養生などを一度で済ませることができるため非常に効率的ですが、工期が長くなる点には注意しなくてはいけません。
屋根と外壁の同じタイミングでの塗装は、2つの箇所を同時に塗装するという性質上、どうしても工期が長くなります。
屋根塗装の工期の目安は7日〜10日で、外壁塗装の工期の目安は10日〜18日ほどとなっています。
一方、屋根塗装と外壁塗装を同じタイミングで行う場合の工期は、15日〜25日と長くなります。
屋根塗装と外壁塗装は住み続けながら施工できるタイプのリフォームなので、そこまで影響は大きくありません。
ただし、期間中は養生用の幕の影響で住宅の中が暗くなったり、作業中の音やほこり、職人の視線が気になるというケースも少なくないため、その期間が若干長くなるという点には注意が必要です。
屋根と外壁の劣化度合いが異なる場合がある
屋根や外壁の劣化は、必ずしも同じように進むわけではありません。
同じ塗料が用いられている場合であっても、屋根の方が劣化しているケースもあれば、外壁の劣化の方が進んでいるケースもあります。
劣化の進行度合いに多少差があったとしても、大体同じようなスピードで進んでいる場合は同時に塗装できますが、劣化の進行度合いに差がある場合は同時に塗装するのが難しくなる可能性もあります。
例えば、「屋根は劣化がある程度進んでいるため再塗装する必要があるが、外壁は劣化がそれほど進んでいるわけではないため、まだ再塗装する必要はない」と判断されるケースもあるわけです。
この場合、本来であればまだ必要のない塗装工事を行うことになるため、同時に施工するのではなく、劣化が進んでいる屋根の塗装だけを実施するべきという判断になります。
屋根塗装と外壁塗装を同時に行うときの費用相場
屋根塗装と外壁塗装、それぞれの費用相場と、同時に行うときの費用相場は以下の通りです。
| 工事の種類 | 費用相場 |
|---|---|
| 屋根塗装 | 60万円〜100万円 |
| 外壁塗装 | 80万円〜150万円 |
| 屋根塗装＋外壁塗装 | 120万円〜220万円 |
この金額は、30坪の住宅を塗装するときの金額ですが、屋根塗装と外壁塗装をそれぞれ個別に実施するときの金額に比べると、同時に塗装する場合の方が費用は抑えられる傾向があります。
ただし、この金額はあくまでも相場でしかありません。
屋根塗装や外壁塗装の費用は、屋根や外壁の状態、使用する塗料、住宅の大きさなどさまざまな条件によって異なるため、この金額より安くなることもあれば高くなることもあります。
正確な金額を確認したいときは、リフォーム業者に見積もりを出してもらうようにしてください。
屋根塗装と外壁塗装を同時に行うときの工期と工事の流れ
屋根塗装と外壁塗装を同時に行う場合、以下のような流れで工事を進めていくことになります。
- 足場の設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 養生
- 塗装（下塗り、中塗り、上塗りの計3回）
- 完了検査
- 足場の解体や片付け
まず初めに、職人が作業するための足場を設置します。
設置が完了したら高圧洗浄機で洗浄作業を行っていきます
その後、綺麗に塗装できるように下地処理を行い、養生したら、いよいよ塗装です。
塗装は、下塗りと中塗り、上塗りの3回に分けて行います。
後は、依頼主立ち会いのもと完了検査を行い、問題なければ片付けをして完了となります。
これらの工程がすべて完了し、工事終了となるまでかかる期間は20日〜25日ほどです。
ただし、この期間はあくまでも目安であり、早く終了することもあれば、長引くこともあるので注意してください。
正確な工期については、リフォーム業者に問い合わせて確認するようにしましょう。
屋根塗装と外壁塗装を依頼するリフォーム業者の選び方
屋根と外壁を同時に塗装するリフォームを成功させる上で重要になるのが、塗装を依頼する業者選びについて。
屋根や外壁の塗装に対応しているリフォーム業者はたくさんありますが、対応の質や技術力の高さ、依頼したときの価格など、さまざまな点が業者によって異なるため、業者選びは慎重に行わなくてはいけません。
屋根塗装と外壁塗装を依頼するリフォーム業者の失敗しない選び方について、解説していきます。
実績が豊富な業者を選ぶ
リフォーム業者を選ぶ際は、屋根塗装や外壁塗装の実績が豊富な業者かどうかを確認した上で選ぶようにしてください。
屋根塗装や外壁塗装は、専門的な知識が必要ですし、正しく施工するには技術力も求められますが、それらを持ち合わせている業者かどうかを判断する上で参考になるのが、ホームページに掲載されている実績です。
実績が豊富な業者は、ノウハウがあり、技術力も高いので、適切な方法で屋根や外壁を塗装してくれます。
また、仕上がりも綺麗ですし、技術力が高いので塗装が長持ちする可能性も高くなります。
実績を確認する際は、事例をチェックするようにしましょう。
複数の事例をチェックし、工事の概要や仕上がり具合を確認しながら、実績が豊富な業者かどうか判断するようにしてください。
提案力の高い業者を選ぶ
屋根と外壁を同時に塗装する場合、費用の負担や工期の長さなどいくつか注意しなければならないポイントがあります。
また、色の組み合わせで失敗する可能性にも注意しなくてはいけません。
これらのデメリットや失敗につながる可能性がある注意点を回避しつつ、満足度の高い仕上がりにするには、リフォーム業者の提案力の高さが必要不可欠です。
提案力の高い業者は、費用を予算内に納めるための提案や工期が長くなりすぎるのを避けるための提案、違和感のない色の組み合わせなどさまざまな点で的確な提案をしてくれます。
提案力のないリフォーム業者に依頼してしまうと、こちらで決めなければならないことや考えなければならないことが増え、負担になりますし、後悔しやすくなるので、なるべく提案力の高い業者に依頼するようにしましょう。
提案力の高いリフォーム業者かどうかは、問い合わせたときの回答などで判断できます。
アフターサポートの充実している業者を選ぶ
リフォーム業者の中には、アフターサポートが充実している業者もあれば、アフターサポートが用意されていない業者もあります。
紹介したとおり、屋根塗装と外壁塗装の同時リフォームは決して安い工事ではないため、より安心できる環境を整えるためにも、アフターサポートの充実している業者を選び、対応をお願いするべきです。
アフターサポートの内容はそれぞれの業者によって異なりますが、保証や定期点検などの手厚いアフターサポートが用意されているとより安心できます。
アフターサポートが用意されているかどうかについては、リフォーム業者のホームページに掲載されているはずなので、忘れずにチェックしておくようにしてください。
アフターサポートの内容や詳細について記載されていない場合は、問い合わせて確認しましょう。
まとめ
屋根塗装と外壁塗装を同時に行う方法には、メリットもあればデメリットもあります。
主なメリットやデメリットは今回紹介したとおりなので、メリットの方に魅力を感じるのであれば同時に行うことを検討してみるべきですし、デメリットの方が大きいと感じる場合は慎重に検討するべきだと言えるでしょう。
ただ、既存の屋根の塗装や外壁の塗装に重大な劣化の症状が見られるようになっている場合は話が別です。
塗装の劣化を放置していると、住宅の内部にまで影響が及ぶようになり、より大規模なリフォームが必要になる可能性があります。
屋根塗装と外壁塗装、それぞれの劣化度合いのチェックリストを参考にしながら確認し、必要だと思われる場合はなるべく早いタイミングで再塗装するようにしてください。
