クッションフロアは、水に強くお手入れしやすいというメリットを持つ素材です。
その特性上、濡れやすい・汚れやすいキッチンの床にぴったりだと言えるでしょう。
しかし、クッションフロアにはメリットのみでなくデメリットも存在します。
今回の記事では、キッチンの床を決める時に知っておくべきポイントをまとめました。
これからキッチンの床をリフォームしようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
クッションフロアとはどんな素材か?
クッションフロアは名称通り、クッション性のある床材を指します。
その表面には、フローリング調・タイル調など様々な模様がプリントされ、よりリアルな質感を表現するために木目などの凹凸をつけた商品もあります。
住宅用のクッションフロアは、幅182cm/厚さ1.8mm程度で作られるものが多いです。
店舗向けに作られたクッションフロアは土足用で、より厚みと耐久性を持たせています。
クッションフロアの特徴とキッチンに施工するメリット
クッションフロアは次のような特徴を持つことから、キッチンに適した床材だと考えられています。
耐水性に優れている
クッションフロアの原材料は塩化ビニール系の素材であり、水や油をこぼしても簡単に拭き取れ汚れが染みたり残ったりしません。
そのため、料理や後片付けで床を濡らす・汚しやすいキッチンにぴったりの床であると言えるでしょう。
足腰の負担を軽減できる
クッションフロアには適度な弾力があり、長時間立っている時の足腰への負担を軽減します。
床を体に優しいものに変えることで、家事の負担を減らす効果が期待できるでしょう。
手頃な価格で施工できる
クッションフロアは他の床材と比較して手頃な価格で導入できます。
さらに、柔らかいシート状の素材を設置していく施工は手間がかからず、設置費用も少なく抑えられるでしょう。
豊富なデザインから選べる
クッションフロアのデザインは非常に多く、フローリング調・タイル調・石目調・単色・パターン調など、さまざまなデザインがあります。
自分好みのインテリアに合わせて、床からコーディネートでき、個性的なデザインのキッチンを形にすることも可能です。
クッションフロアをキッチンに施工するデメリットとは?
クッションフロアにはメリットのみでなくデメリットも存在します。
メリットとデメリットを比較して、クッションフロアがキッチンに適した床材であるか考えてみるとよいでしょう。
傷がつきやすい
クッションフロアは、凹み・傷ができやすいというデメリットがあり、上に重い家具などを置いておくと、その部分が凹んでしまうのです。
さらに、その状態で家具を引きずれば、素材が破れる可能性が考えられるでしょう。
劣化が早い
クッションフロアは施工が簡単なため、隙間にゴミなどが溜まると剥がれてしまう・浮いてしまう可能性があります。
一般的なフローリングと比較すると、劣化が早いと考えてよいでしょう。
見た目が安っぽいと感じる方もいる
クッションフロアにはリアルな質感を表現している商品も多いですが、デザインによっては塩化ビニールのテカリが気になり、「安っぽい」と感じる方もいるようです。
デザイン選びの際には、十分な検討が必要だと言えるでしょう。
熱に弱い
キッチンの床にクッションフロアを施工する最大のデメリットと言える点が、熱に弱い特性です。
クッションフロアは塩化ビニールでできており、熱で焼け焦げる・溶けてしまいます。
そのため、熱い状態の調理器具をクッションフロアに落下させると、大きな損傷が残る可能性があるでしょう。
クッションフロアに向いている部屋
クッションフロアの特性がマッチする部屋は、キッチン以外にもあります。
トイレまわり・洗面脱衣室など
クッションフロアは耐水性が強いため、トイレや洗面脱衣室の床として使いやすい素材です。
床に素足で触れた時のヒヤッとした感覚も少ないことから、お風呂上がりの不快感も軽減できるでしょう。
ペットがいる部屋
クッションフロアのクッション性・滑りにくさは、ペットの足腰にも優しいです。
また、汚れを簡単に拭き取れるため、ペットのトイレスペースの床材にも向いている素材と言えます。
子ども部屋
クッションフロアの耐水性・防汚性は子どもが過ごす時間が長い場所にも求められるものです。
さらに、転んだ時・物を落とした時の衝撃も少ないため、小さなお子様の怪我を防ぐ効果も得られます。
クッションフロアが不向きな部屋とは?
クッションフロアの傷や汚れがつきやすい・熱に弱い・見た目が安っぽいというデメリットを考えると、クッションフロアが不向きな部屋も存在します。
以下のような部屋にクッションフロアを施工する時には、デメリットについても理解しておく必要があるでしょう。
- 高級感を重視したいリビングや玄関まわりなど
- 直射日光が長時間当たる部屋
- カビが発生しやすい湿気が多い部屋
- 重い家具を頻繁に移動させる部屋
クッションフロアの特性を把握した上で、施工エリアを決定しましょう。
クッションフロアとフロアタイルの違いとは?
クッションフロアと似た素材に、フロアタイルがあります。
両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
クッションフロアとフロアタイルは同じ素材でできている
クッションフロアとフロアタイルはどちらも塩化ビニールで作られており、耐水性がある・デザインが豊富という特徴が同じです。
ただし、クッションフロアはシート状・フロアタイルは長方形や正方形の角型で販売されています。
フロアタイルはクッションフロアより硬い
フロアタイルとクッションフロアの大きな違いとして、フロアタイルの方が硬いというポイントがあります。
そのため、重い家具を設置した時の凹みはあまり気にならないでしょう。
木目調の質感をよりリアルに演出できるという特徴も持ちます。
ただし、施工の特性上、フロアタイルは床に境目が多くできることから、隙間からの水の侵入に注意しなければいけません。
住宅に使われることが多い素材を比較
この章では、クッションフロア・フロアタイル・フローリングの特徴とメリット・デメリットを一覧にしました。
キッチンの床材を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
項目 | クッションフロア | フロアタイル | フローリング |
---|---|---|---|
特徴 | ・塩化ビニール素材 ・シート状 ・柔らかめ | ・塩化ビニール素材 ・タイル状 ・硬め | ・無垢または合板 |
メリット | ・耐水性がある ・お手入れしやすい ・足腰に優しい ・手頃な価格 ・デザインが豊富 | ・耐水性がある ・お手入れしやすい ・デザインが豊富 ・凹みに強い ・部分張替え可能 | ・温かみがある ・高級感がある ・足触りがよい ・経年劣化を楽しめる |
デメリット | ・傷・凹みが目立つ ・熱に弱い ・劣化が早い ・湿気がたまりやすい | ・熱に弱い ・境目が多い ・湿気がたまりやすい | ・お手入れに手間かかかる ・導入コストが高い ・湿気に弱い ・傷がつきやすい |
おすすめの施工先 | ・キッチン ・洗面脱衣室 ・トイレ ・子ども室 | ・リビング ・キッチン ・寝室 ・子ども室 | ・リビング ・キッチン ・寝室 ・子ども室 |
施工箇所に適した床材は、その特性を十分理解した上で決定してください。
クッションフロアの種類とおすすめ商品
この章では、おすすめのクッションフロアのメーカーと商品を紹介します。
メーカー | シリーズ | 特徴 |
---|---|---|
サンゲツ | ホームフロア(住宅用) | 抗菌性・耐次亜塩素酸 さらっと仕上げ |
サンゲツ | Sフロア(店舗用) 複層シート | 抗菌性・耐次亜塩素酸 ワックスフリー |
サンゲツ | Sフロア(店舗用) 発砲複層シート | 抗菌性・耐次亜塩素酸 衝撃吸収性 ワックスフリー |
東リ | CFシート-H(住宅用) | 抗ウィルス性 抗菌性・耐薬品性 |
東リ | CFシート-SD(住宅用) | 抗ウィルス性 抗菌性・耐薬品性 衝撃吸収性 |
東リ | CFシート-P NW(重歩行用) | 防滑制・傷つき性・消臭 ペットオススメ ワックスフリー 土足OK 抗ウィルス・抗菌・耐薬品性 |
キッチンのクッションフロアのお手入れ方法
キッチンでは調理の過程で油汚れが床まで飛び散ることがあり、このままの状態を放置すると、油のせいでクッションフロアが変色してしまう可能性が考えられるでしょう。
キッチンのクッションフロアは、以下の方法でお手入れしましょう。
- 中性洗剤でキッチンのフロア全体を拭く
- 仕上げに水拭きをする
1.中性洗剤でキッチンのフロア全体を拭く
中性洗剤を水またはぬるま湯で薄め、雑巾に含ませ絞った上でキッチンのクッションフロア全体を拭きましょう。
油汚れは目に見えない部分まで散っている可能性があるため、一部だけではなく全体を拭くことが大切です。
中性洗剤には、油を分解する働きがあります。
2.仕上げに水拭きをする
中性洗剤を使ってクッションフロアの油汚れを落としても、そのまま中性洗剤が床に長期間付着していたことがシミの原因になる可能性があります。
中性洗剤でクッションフロアのお手入れをした時には、最後に水拭きをして仕上げましょう。
特に白い・薄い色のクッションフロアは黒ずみが目立つため、注意が必要です。
クッションフロアの正しいメンテナンス方法
クッションフロアは傷がつきやすい・劣化が早いというデメリットがあります。
クッションフロアの汚れや傷が気になる時には、次のような方法が効果的です。
取れない汚れはプロに任せる
クッションフロアに落とせない汚れがついてしまった場合は、プロに清掃を依頼しましょう。
ハウスクリーニングのプロであれば、クッションフロアの汚れの内容に合わせて適切な処置ができます。
多少のコストはかかりますが、誤った清掃方法でクッションフロアに損傷を加えてしまうよりも良いでしょう。
軽い傷にはフローリング補修用のクレヨンが効果的
クッションフロアに軽い傷ができた時には、フローリング補修用のクレヨンを使いましょう。
ぴったりの色合いのクレヨンが見つかれば、違和感がない仕上がりが期待できます。
クッションフロアの剥がれ・傷が深刻な場合は張り替えを検討する
クッションフロアに修復不可能な深い・大きい傷がついてしまった時、クッションフロアが剥がれ・浮いてきてしまった時には、クッションフロア自体の張り替えを検討しましょう。
クッションフロアは手頃な価格で施工できますが、耐用年数は10年程度と長くはありません。
クッションフロアに隙間ができている状態を放置すると、隙間から侵入した水分のせいで床下にカビが生えてしまう恐れがあるため、必要なリフォームを後回しにせずに検討しましょう。
キッチンにクッションフロアを施工する時のポイント
キッチンの床をクッションフロアにしようと決めた時には、以下のポイントを意識しましょう。
サンプルだけで決めると期待した仕上がりにならない可能性がある
小さなサイズのサンプルだけを見てクッションフロアのデザインを決めると、キッチン全体に施工してから「イメージと違った」と感じてしまう恐れがあります。
色は、小さな面積で見ると大きな面積で見るよりも濃く見えるという性質を持つため、可能であればクッションフロアのメーカーのショールームを訪れ、施工例を見ながらデザインを決めましょう。
クッションフロア単体ではなくキッチン全体のイメージに合わせていく
どんなにおしゃれなクッションフロアでも、キッチンのデザインと合っていなければ、理想的な空間を形にできません。
キッチンのクッションフロア選びでは、キッチンの壁・扉などとの相性を考えることが大切です。
マンションのキッチンの床材変更をする際には事前に確認が必要
マンションは施工可能な床材に遮音等級が定められているケースが多いです。
遮音等級は、下の階への音の伝わりにくさを示す数値です。
クッションフロアは遮音性がないため、この基準をクリアできない可能性が高いでしょう。
ただし下地を工夫することで、施工可能になるケースもあります。
クッションフロアをDIYで施工する時の手順
クッションフロアは施工に特別な知識が必要ないため、自分で施工することもできます。
この章では、クッションフロアを DIYする時の手順をまとめました。
- 施工部分を綺麗に掃除する
- 新しいクッションフロアを仮敷きしてみる
- 両面テープを剥がして床に貼る
- クッションフロアの継ぎ目に「継ぎ目処理剤」を注入する
1.施工部分をきれいに掃除する
DIYの場合には、既存のフロアの上にクッションフロアを設置します。
そのため、既存のフロアの汚れやゴミをきれいに取り除くことからスタートしましょう。
2.新しいクッションフロアを仮敷きしてみる
クッションフロアシートの裏には両面テープがついています。
まずはテープを剥がさずに、クッションフロアを既存の床の上に仮敷きしましょう。
壁際は10cmほど余裕を持って残しておき、キッチンのサイズに合わせてクッションフロアを切断していきます。
「CFカッター」があると、クッションフロアを簡単にカットできます。
3.両面テープを剥がして床に貼る
仮敷きを終えたら、両面テープを剥がして丁寧にクッションフロアを床に貼り付けていきます。
クッションフロアがずれないように十分注意する必要があるでしょう。
壁際に隙間ができることを防ぐために、ローラーや手でしっかりと抑えた後、クッションフロア全体にローラーをかけます。
4.クッションフロアの継ぎ目に「継ぎ目処理剤」を注入する
最後に、クッションフロアの継ぎ目に「継ぎ目処理剤」を注入して、クッションフロアの剥がれや浮きを予防します。
継ぎ目処理剤が完璧に乾いたら完成です。
クッションフロアを扱う時に知っておくべき注意点
クッションフロアの特性を理解していても、以下のようなことでクッションフロアが傷つく・汚れる可能性があるため、扱いには十分注意しましょう。
クッションフロアの上にホットカーペットを敷かない
クッションフロアの上にホットカーペットを敷くと、熱や光によるダメージで変色してしまう可能性があります。
クッションフロアの上に熱を発する家電を設置する場合には、ホットカーペットや床暖房にも対応可能な商品を選びましょう。
クッションフロアの上にゴム製品を置かない
クッションフロアはゴム製品との相性が悪いです。
クッションフロアの上にゴム製品を置いておくと、「ゴム汚染」が起こってフロアが変色してしまいます。
ゴム素材が使われているキャスターや・ゴム脚のカバー付きの椅子などは、クッションフロアの上に置かないよう注意しましょう。でください。
一度変色してしまったクッションフロアは、元の状態に戻せません。
まとめ
クッションフロアは耐水性があり汚れが落としやすいなどの特徴を持つことから、キッチンに最適な床材だと言えるでしょう。
しかし、劣化が早い・熱に弱いなどの注意点も知っておくべきです。
この記事を参考に、自宅の床に適した床材は何か考えてみましょう。