住宅のリフォームでは、和室を洋室に変更することも可能です。
ただし、和室全体を洋室に変更する場合など、リフォームの内容によっては費用が高額になることもあるため注意しなくてはいけません。
ここでは、和室を洋室にリフォームするときの費用相場について詳しく解説します。
和室を洋室にリフォームするときのコツやポイント、注意点などについても紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
【リフォーム内容別】和室を洋室にリフォームするときに掛かる費用の相場
和室を洋室にリフォームするときの費用は、リフォームの内容によって大きく異なります。
リフォーム内容ごとの費用相場は以下の通りです。
リフォームの内容 | 費用相場 |
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床をフローリングに張り替える | 15万円〜 |
壁と天井を張り替える | 15万円〜 |
押入れをクローゼットにする | 20万円〜 |
襖を洋風の引戸や開戸に変更する | 20万円〜 |
和室全体をリフォームする | 70万円〜 |
和室の床をフローリングに変更する
和室の床に用いられている畳をフローリングに変更するときの費用相場は、畳を撤去した後の下地をそのまま利用できるかどうかによって金額が変化します。
畳を撤去した後の下地をそのまま利用できる場合の費用相場は以下の通りです。
リフォームの内容 | 費用相場(6畳) |
---|---|
フローリング張り | 約10万円~ |
フローリングには、合板の表面に薄い木の板やシートを張り付けて作る複合フローリングと、木から切り出して1枚の板に加工して作られる無垢フローリングがありますが、どちらでリフォームするかによって金額が異なります。
質感は無垢フローリングの方が優れていますが、コストも高くなるため注意が必要です。
既存の下地をそのまま使用することができない場合は下地の調整が必要になりますが、下地を調整してフローリングに張り替えるときの費用相場は以下の通りです。
リフォームの内容 | 費用相場(6畳) |
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フローリング張り+下地調整 | 約30万円~ |
畳は、フローリングやクッションフロアなど他の床材よりも厚みがあります。
そのため、フローリングと畳の厚みの段差を埋めるための下地調整が必要になることも多く、下地調整が必要になる場合は費用も割高になります。
和室の壁と天井のクロスを張り替える
和室の壁と天井のクロスを張り替えるリフォームの費用相場は以下の通りです。
リフォームの内容 | 費用相場 |
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壁と天井のクロスを張り替える | 15万円〜30万円 |
既存の壁と天井にクロスが用いられている場合は、古いクロスを剥がして張り替えるだけで対応できるため、費用も安くなります。
一方、天井が板張りになっていたり、壁が土壁や塗壁の場合は、別途工事が必要になり、施工内容により費用が異なります。
壁と天井の下地を作る方法として2種類あります。
- 板張り天井や土壁や塗り壁を解体撤去して撤去して、最初から下地を作る
- 上板張り天井や土壁や塗り壁を撤去せず、上から合板を張って下地を作る
既存の天井や壁を撤去して下地を作る場合は、上から施工するよりも割高になります。
張り替えに用いるクロスの種類によっても金額が異なるので、予算に合わせてどのクロスに張り替えるか選ぶようにしましょう。
和室の押入れをクローゼットにする
和室の収納には押入れが用いられているので、和室を洋室にする際は押入れもリフォームしなくてはいけません。
和室の押入れをクローゼットに変更するリフォームにかかる費用の相場は以下の通りです。
リフォームの内容 | 費用相場 |
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押入れをクローゼットにする | 10万円〜 |
押入れからクローゼットに変更するリフォームの費用は、内部を洋服を吊るすハンガーパイプにする場合、建具を襖から洋風の引戸やクローゼット折戸に変更する場合、もしくはその両方の工事を行う場合などがあり、施工範囲によって費用が大きく異なります。
押入れからクローゼットに変更するリフォームする工事内容を紹介します。
- 襖を残して押入れの内部を中段からハンガーパイプに変更する
既存の壁が使用できなければ、下地工事とクロス工事も必要になります。
- 襖の枠や敷居を残して、建具のみ洋風の引違戸を製作する
- 襖の枠敷居、まわりの壁を解体してクローゼット折戸に変更する
壁下地の造作工事、建具枠の取付工事、建具吊込み、クロス工事が必要になります。
建具枠の取り替えを行う場合は、解体工事や木工事、クロス工事が必要になり費用も割高になりますが、枠から新しく取り替えできるため、美しい仕上がりになります。
和室の襖をドアや引き戸に変更する
和室の襖を洋風のドアや引き戸に変更するリフォームの費用相場は以下の通りです。
リフォームの内容 | 費用相場 |
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襖を洋風の引戸や開戸に変更する | 20万円〜 |
襖を洋風の引戸に変更で、枠や敷居を残して建具のみ洋風の引違戸を製作する場合は、建具を取り替えるだけの簡易的な工事になるため、費用もそれほど高くはなりません。
一方、枠も合わせて洋風の建具に変更したり、開戸に変更する場合は、襖の枠・敷居とまわりの壁の解体工事、壁下地の造作工事、建具枠の取付工事、建具吊込み、クロス工事が必要になります。
その場合、隣接する部屋の床の張り替え、クロスの貼り替え工事も必要になり、工事の範囲によって金額が異なるので、隣室の部屋全体を張り替えるのか、もしくは一部にするのか、予算に合わせて検討しましょう。
開戸に変更の場合は、段差を解消しなければならないことも多く、追加の工事が発生するため、費用も割高になる傾向があります。
和室を全体的に洋室化する
和室を洋室にリフォームする際は、全体の雰囲気を合わせたい場合は、部屋全体をリフォームするとよいでしょう。
和室を全体的に洋室化する際のリフォーム費用は以下の通りです。
リフォームの内容 | 費用相場 |
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和室全体をリフォームする | 70万円〜 |
和室全体のリフォームでは、ここまで紹介してきた工事をすべて行うことになるため、費用もかかる大がかりな工事となります。
和室を洋室にリフォームするときの費用を抑える方法
和室から洋室へのリフォームは、数十万円~の費用が掛かります。
リフォームの内容や使用する建材によっては百万円以上になる可能性もあるため、リフォーム費用を少しでも抑えるための方法についても把握しておくようにしましょう。
和室を洋室にリフォームするときの費用を抑える具体的な方法としては、下記の方法が挙げられます。
- 複数の業者に相談して見積もりを出してもらう
- まとめて施工してもらう
- やりたいことの優先順位を決める
- 利用できる補助金や助成金がないかチェックする
複数の業者に相談して見積もりを出してもらう
和室を洋室にリフォームするときのリフォーム内容ごとの費用相場は紹介した通りですが、あくまで相場であり、実際の金額とは異なります。
そのため、正確な金額を把握するにはリフォーム業者に見積もりを作成してもらわなくてはいけません。
ただ、和室を洋室にリフォームするときの費用は、それぞれの業者によって異なります。
同じ内容・同じ建材を使ったリフォームを行う場合であっても、リフォーム業者によって数万円〜数十万円の差が出るケースも珍しくありません。
高い金額を提示してくる業者の中には、技術力やデザイン力を売りにしている業者もあるため、価格が高い業者がすべて悪い業者というわけではありません。
しかし、適正価格で工事を依頼するためにも、複数の業者に相談して見積もりを出してもらうようにするべきです。
複数の業者から見積もりを取り寄せることでリフォームの適正価格を把握できるようになりますし、業者の比較も行えるようになります。
和室を洋室にするリフォームの費用をなるべく抑えたいのであれば、最低でも3つ以上のリフォーム業者に相談して、見積もりを作成してもらうようにしてください。
まとめて施工してもらう
ご紹介した通り、和室を洋室にするリフォームには、さまざまな種類があります。
- 床をフローリングに張り替える
- 壁と天井を張り替える
- 押入れをクローゼットにする
- 襖を洋風の引戸や開戸に変更する
リフォーム費用はそれぞれ異なりますが、最低でも数万円かかりますし、数十万円掛かるものもあります。
和室を全面的にリフォームする場合は、最低でも70万円以上、高い場合だと100万円ほど掛かることもあります。
そのため、最終的には和室全体をリフォームしたいと考えているものの、費用の負担を減らすために一ヶ所ずつ進めたいと考えている方もいるでしょう。
しかし、少しでも費用を抑えたいのであれば、なるべくまとめて施工してもらうようにするべきです。
それぞれの工事を異なるタイミングで個別に施工すると、非効率になりますし、その都度施工前の準備が必要になるため、余計な費用が発生する可能性も高くなります。
それよりも、まとめて施工してもらい、リフォームの工期を1日でも短くした方が職人に対する人件費も削減できます。
まとまった金額を用意するのは大変かもしれませんが、可能なのであれば、なるべくまとめて施工してもらうようにしてください。
やりたいことの優先順位を決める
和室から洋室に変更するリフォームに掛かる費用をしっかりと予算内に収めたいのであれば、やりたいことの優先順位を決めておくことが重要です。
和室から洋室へのリフォームでやりたいことが複数ある場合は、やりたいリフォームをリストアップし、優先順位を決めていきましょう。
予算内ですべてのリフォームを行えるのであれば問題ありませんが、予算的にすべてのリフォームを行うのが難しいときは、優先順位の高いリフォームから実施することで後悔するのを避けられるようになります。
先ほど紹介したとおり、少しでも安く済ませたいのであればまとめてリフォームした方が良いです。
しかし、予算内ですべてのリフォームを実施するのが難しい場合は、予算に合わせて優先度の高いものから進めていくようにしましょう。
利用できる補助金や助成金がないかチェックする
住宅をリフォームする場合、リフォームの内容によっては、国や自治体から補助金や助成金を受け取れることがあります。
これは、和室から洋室へのリフォームでも変わりません。
和室から洋室に変更するリフォームを行うときに申請できる可能性がある代表的な補助金・助成金としては、介護保険が挙げられます。
例えば、要支援・要介護の方が住む、あるいは同居する住宅の畳をフローリングに変更する際、滑りにくい床材に変更することで工事費用を補助してもらえるようになります。
すべての工事が対象になるわけではありませんし、補助金や助成金を受け取るには条件を満たす必要があり、上限も決まっていますが、活用できるのであれば積極的に活用しましょう。
補助金や助成金の制度は、国が主導しているものと自治体主導のものがあります。
自治体の補助金・助成金については、それぞれの自治体によって利用可能な制度が異なり、介護目的のリフォームでなくても利用できる補助金・助成金があったりもするので、リフォームする前に一度目を通しておくようにしましょう。
和室を洋室にリフォームするときのコツやポイント
住宅のリフォームでは、費用を抑えること以上に満足できるリフォームにすることが重要になってきます。
そこで把握しておきたいのが、和室を洋室にリフォームするときのコツやポイントについてです。
主なコツやポイントとしては、以下の2点があげられます。
- 部分的なリフォームでは全体の雰囲気やバランスを意識する
- 洋室のメリット・デメリットなどの特徴を理解しておく
部分的なリフォームでは全体の雰囲気やバランスを意識する
和室を洋室にリフォームしたいと考えている方の中には、和室全体を洋室にリフォームするのではなく、畳をフローリングに変更したり、壁紙や天井のクロスを変更するなど、部分的にリフォームしたいと考えている方もいるかと思います。
全体的にリフォームするのではなく、部分的なリフォームを実施する場合は、全体の雰囲気やバランスを意識してリフォームするようにしましょう。
全体的にリフォームする場合はトータルでリフォームプランを考えるため、一部分の雰囲気やバランスがおかしくなってしまうような失敗は起こりづらい傾向があります。
一方、特定の箇所を部分的にリフォームする場合、その部分のデザインや雰囲気のみにフォーカスしてしまい、全体を俯瞰してみると、雰囲気やインテリアのバランスがおかしくなってしまうケースも少なくありません。
例えば、床材を畳からフローリングに変更するリフォームのみを行う予定なのであれば、既存のクロスや建具などの他のアイテムと雰囲気が一致しているか、バランスの良い組み合わせになっているかを意識して建材を選ぶようにしましょう。
または、床の畳を残して建具やクロスをリフォームして、洋風和室をつくるのもよいでしょう。畳も縁なしの半畳畳やカラー畳などに敷き替えると、和風モダンな和室が実現します。インテリアコーディネートも合わせて、リフォーム会社のプロに相談してアドバイスを受けるのもよいでしょう。
洋室のメリット・デメリットなどの特徴を理解しておく
リフォームによって和室を洋室に変更したいと考えているのであれば、洋室のメリットやデメリットなどの特徴を事前に把握しておくようにしましょう。
メリットやデメリットなど、洋室ならではの特徴を理解しておかないと、「やっぱり和室のままにしておけばよかった…」と、リフォームしたことを後悔する可能性があるため注意しなくてはいけません。
洋室の主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・インテリアの選択肢が豊富 ・メンテナンスしやすい ・床が凹みづらく家具を設置しやすい | ・足元が冷えやすい ・音が響きやすい ・床が硬く座ってくつろぐことができない |
特に注意しなくてはならないのが、洋室ならではのデメリットです。
洋室の床材としてはフローリングが定番となっていますが、フローリングは足元が冷えやすいというデメリットがあります。
また、洋室の床に用いられる床材は、畳ほど厚みがないため、階下の部屋に音が響きやすいので、遮音マットの採用などを検討するのもよいでしょう。
和室を洋室にリフォームするときの注意点
和室から洋室へのリフォームにはいくつか注意点もあります。
主な注意点としてあげられるのが、以下の6点です。
- リフォームの内容によって工期が異なる
- マンションの床を張り替える際は遮音性に注意する
- 断熱材の設置が必要になることがある
- 段差の調整が必要になることがある
- 真壁から大壁への変更が必要になることがある
リフォームの内容によって工期が異なる
和室を洋室にするリフォームにはいくつか種類があると紹介してきましたが、リフォームの内容によって工期が異なる点には注意が必要です。
リフォームの内容ごとの工期の目安は以下の通りです。
リフォームの内容 | 工期 |
---|---|
床をフローリングに張り替える | 2日〜10日 |
壁と天井を張り替える | 2日〜10日 |
押入れをクローゼットにする | 3日〜7日 |
襖をドアや引き戸に変更する | 2日〜7日 |
和室全体をリフォームする | 1週間〜2週間 |
床材の変更やクロスの張り替えのように数日で完了するものもあれば、和室全体のリフォームのように1週間〜2週間ほどかかるものもあります。
基本的に工事期間中は対象の部屋に入れなくなりますし、使用できなくなるので、およその工期を把握しておきましょう。
その期間中は、部屋に入れない・部屋を使用できない状態になっても問題ないようにしておくことが大切です。
マンションの床を張り替える際は遮音性に注意する
マンションなど集合住宅の床を張り替えるリフォームを行う際は、遮音性にも注意しなくてはいけません。
畳は厚みがある床材なので、遮音性が高く、階下の部屋に声や衝撃音が伝わりづらいという特徴があります。
一方、フローリングなど他の床材は畳ほど厚みがあるわけではないので、変更すると遮音性が低くなり、階下の部屋への影響が大きくなる可能性があります。
リフォームで畳から他の床材に変更したことで、階下の住人との騒音トラブルに発展する可能性もゼロではありません。
小さなお子さんやペットがいる場合は特に注意が必要です。
マンションには管理規約があり、床材の防音規定や遮音等級などに関する決まりが記載されていることが多いので、規約に記載されている内容を確認しながら、防音性や遮音性に関する条件を満たす床材を選んで導入するようにしましょう。
断熱材の施工が必要になることがある
古い住宅の1階の和室を洋室にリフォームする際に注意しなくてはならないのが、断熱材の施工についてです。
築年数が古い住宅だと、撤去した畳の下に断熱材が施工されていないことが多々あります。
1階の部屋では、断熱材を施工しておかないと底冷えする可能性がありますが、フローリングなどの床材は特に底冷えしやすいため、床下断熱材は必須で施工しなくてはいけません。
床下の断熱材を施工する場合は、工期が延びる可能性があり、施工費用や断熱材の材料費がプラスされるため、費用も高くなる可能性があります。
段差の調整が必要になることがある
和室から洋室へのリフォームでは、段差の調整が必要になることもあります。
畳とフローリングなどの他の床材とでは素材の厚さが大きく異なります。
例えば、従来の畳は40mm〜55mmほどの厚みがありますが、フローリングは12mm程度の厚みしかない製品がほとんどです。
そのままだと、段差の影響で新しい床材をうまく設置できなくなってしまうので、畳を撤去した後に下地の調整を行った上で床材の張り替えを行わなくてはいけません。
また、和室の襖を洋風の開戸に変更するリフォームでも、隣接する部屋との段差の調整が必要になることがあります。
この場合も、工期が延びたり、追加費用が発生したりする可能性があります。
真壁から大壁への変更が必要になることがある
和室を洋室に変更する場合、真壁から大壁へ変更するための工事が必要になることもあります。
真壁は、伝統的な和室に採用されている、柱を露出させているタイプの壁です。
一方、洋室に採用される壁は大壁と呼ばれ、柱を露出せず見えなくする仕様になっています。
真壁と大壁のどちらが採用されているかはそれぞれの住宅によって異なりますが、真壁が採用されている和室を大壁の洋室にリフォームする場合は、費用が高くなります。
ただし、真壁から大壁への変更は必須というわけではないので、その辺りも含めてリフォーム業者に相談するようにしましょう。
まとめ
和室を洋室にするリフォームする場合は以下ような工事があります。
- 床をフローリングに張り替える
- 壁と天井を張り替える
- 押入れをクローゼットにする
- 襖を洋風の引戸や開戸に変更する
- 和室全体をリフォームする
具体的な金額や正確な金額を把握したい場合は、リフォーム業者に相談して見積もりを出してもらうようにしてください。
リフォームに掛かる費用を抑えたいときは、
- 複数の業者に相談して見積もりを出してもらう
- まとめて施工してもらう
- 利用できる補助金や助成金がないかチェックする
などのポイントも意識しましょう。
予算内に抑えたいときは、やりたいことの優先順位を決めて対応を進めることも大切です。
他にも、リフォームを成功させるためのポイントやリフォームする上での注意点もあるので、これらについてもしっかりと押さえた上で対応を進めるようにしましょう。